代表的な経済指標である、景気動向指数、日銀短観、物価指数、マネーストック、マネタリーベースなどの概要を一瞬で理解できるように図説します。それぞれの特徴と発表元は必須知識になります。
景気動向指数
景気動向指数には、内閣府が毎月発表しているコンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)の2つがあります。簡単に言うと、CIは景気変動の大きさを測定するもの、DIは景気変動の方向性を測定するものとされています。
DIは、景気の影響を受けやすい28の景気指標の3か月前のデータを基準にして、全ての経済指数が拡大すれば100%、全ての経済指数が悪化すれば0%とするものであり、50%以上であれば好景気、50%以下であれば不景気と判断します。
CIは、ある年の指数を100として、現状がそこからどのくらい変化があるかを調べることができます。
DIとCIを算出するために利用される景気指数には、先行指数、一致指数、遅行指数の大きく分けて3種類の指数があります。
- 先行指数:景気に対し先行して動く
- 一致指数:景気とほぼ一致して動く
- 遅行指数:景気に対し遅れて動く
日銀短観
日銀短観は全国企業短期経済観測調査とも呼ばれています。全国1万社の経営者を対象とした景気動向に関するアンケート調査であり、日本銀行が年4回発表するものです。代表的な指標としては、景気がいいとする企業の比率から悪いとする企業の比率を引いた「業況判断DI」があります。
物価指数
企業物価指数(CGPI)
企業間の取引における、商品の価格変動を時系列でとらえたもので、日本銀行が毎月発表しているものです。サービス価格は含みません。
消費者物価指数(CPI)
全国の家計が購入する、商品とサービスの価格変動を時系列で捉えたもので、総務省が毎月発表しているものです。
マネーストック
金融機関や中央政府を除いた、個人や法人、地方公共団体が保有する通貨量の残高をマネーストックといいます。マネーサプライともいいます。金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量のことであり、簡単に言えば、世の中に出回っているお金の総量を意味します。
ここでの金融機関や通貨の範囲の捉え方は国によって違い、日本ではM1、M2、M3、広義流動性の4種類で定義しています。
マネタリーベース
現金通貨と民間の金融機関が中央銀行(日本の場合は日本銀行)に預けた通貨の合計をマネタリーベースといいます。簡単に言えば、中央銀行が供給している通貨の総量を意味しています。
一見、中央銀行が供給している通貨の総量(マネタリーベース)=世の中に出回っているお金の総量(マネーストック)のように見えますが、実際には金融機関の信用創造機能により、マネーストックはマネタリーベースの数倍になります。