雇用保険(失業保険)の給付金の種類と要件を解説

FP

近年では働き方が大きく変わっており、転職や副業が当たり前になってきております。そこで、もし会社を辞めた場合、雇用保険(失業保険)がもらえるのか、また、どれだけもらえるのか気になるところですね。

ちなみに、雇用保険、失業保険、失業手当、失業給付金など様々な呼び方がされていますが、これらの意味の違いは特に決まってなく、正式には「雇用保険」ということなので、ここでは雇用保険と記述します。

会社を辞めたとき、もしくは、辞めさせられたときにお世話になるかもしれない雇用保険について、その種類と受給要件について、図を用いて解説します。

雇用保険の概要

加入要件(事業主視点)

雇用保険は、労災保険と同じで、労働者を1人でも使用する事業であれば、原則、すべての法人と個人事業の事業所で強制適用です。

労働者に適用されるため、法人の社長や役員、自営業者には適用されません。

被保険者となる要件

  • 雇用期間:31日以上
  • 1週間の所定労働時間:20時間以上

例えば、下記のような労働を1か月以上する場合、雇用保険の被保険者となります。

  • 週5日勤務で、1日4時間の労働
  • 週3日勤務で、1日7時間の労働

正規雇用かどうかということは条件になっていないため、パートやアルバイトでもこの条件が満たされれば被保険者ということになります。したがって、パートやアルバイトでも辞めた後、雇用保険がもらえるか検討する余地はあります。

保険料

事業の種類によって異なるところもありますが、一般の事業の場合以下になります。

賃金総額×0.9% (被保険者負担0.3%+事業主負担0.6%)

労働者視点だと、給料の0.3%は雇用保険で引かれていることになります。
事業主視点では労働者への給料+0.6%分が雇用保険で支払わなくてはいけない経費ということになります。

給付金の種類

雇用保険による給付金のおおまかな分類は以下のようになります。

以下にそれぞれの要点だけまとめていきます。

求職者給付

一般求職者給付( 65歳未満 )

受給条件

  • 離職により、雇用保険の被保険者から被保険者でなくなること
  • 働く意思と能力があるが、就職できない状況であること
  • 離職前の2年間で被保険者の期間が通算12か月以上あること

特定受給資格者(自己都合でなく急遽離職なった人など)や特定理由離職者(有期労働契約者の雇止めをくらった人など)は、3つ目の条件が少しだけ変わります。

  • 離職前の1年間で被保険者の期間が通算6か月以上あること

給付のスケジュール

受給期間は原則として1年間です。

申込み、受給資格が決定してからすぐもらえるものではなく、まず、7日間の待機期間があります。自己都合退職の場合はさらに1~3か月の期間を待たないと支給されません。

受給額と日数

受給額は離職する最後の6か月間の賃金を基に算出されます。60歳未満の場合は50~80%、60~65歳の場合は45~80%になります。

所定日数は、勤続年数によって変わってきます。 自己都合により退職した場合や定年退職者の場合は以下になります。

勤続年数10年未満10~20年20年以上
支給日数90日120日150日

なお、特定受給資格者(自己都合でなく急遽離職なった人など)や特定理由離職者(有期労働契約者の雇止めをくらった人など)の場合は、最大330日になります。

具体例については以下の記事を参照ください。

高年齢求職者給付( 65歳以上 )

高年齢求職者給付金は、離職した場合に一括で支給されます。

受給条件

  • 離職により、雇用保険の被保険者から被保険者でなくなること
  • 働く意思と能力があるが、就職できない状況であること
  • 離職前の1年間で被保険者の期間が通算6か月以上あること

受給額と日数

受給額は被保険者として雇用されていた期間によって変わってきます。

被保険者年数1年未満1年以上
支給日数30日50日

老齢厚生年金と併給できます。

就職促進給付

就職促進給付は、本来の目的である失業者の就職を促進するためために存在しています。

例えば、この給付制度がないと、求職者給付を途中で断ち切ってまで就職しようとする意欲がなくなってしまうことが考えられます。「あと2か月は求職者給付がもらえるから、今はまだ就職活動をあまりしなくてもいいや..」ということにならないために、就職が決まっても給付金がもらえる制度です。

就業手当

就業手当は「早くに非正規雇用でも就職が決まって良かったね。」というイメージの手当です。

所定給付日数の1/3以上、かつ、45日以上残して、常用雇用以外(パートなど)の雇用が決まった場合に支給されます。

基本手当の30%が、働いた日にも上乗せして支給されます。

再就職手当

再就職手当は「早くに正規雇用の就職が決まって良かったね。」 というイメージの手当です。

所定給付日数の1/3以上残して、 常用雇用が決まった場合に支給されます。

支給残日数が所定給付日数の2/3以上の場合:残りの支給額×70%
支給残日数が所定給付日数の1/3~2/3の場合:残りの支給額×60%

就業促進定着手当

就業促進定着手当は「再就職したけど、賃金が安くてやってられないね。」という人に支給されるイメージです。

支給要件

  • 再就職手当の支給を受けた人
  • 再就職先で6か月以上の雇用
  • 再就職先で6か月間に支払われた賃金が再就職手当の賃金日額よりも低い

教育訓練給付

給付制度被保険者期間支給内容備考
一般教育訓練給付金3年以上
(初回のみ1年以上)
支払った費用の20%(上限10万円)
特定一般教育訓練給付金3年以上
(初回のみ1年以上)
1年間で 支払った費用の40%(上限20万円)教育訓練の受講1か月前までに訓練前キャリアコンサルティングを受け、公共職業安定所の手続きが必要
専門実践教育訓練給付金 3年以上
(初回のみ2年以上)
・支払った費用の50%(1年の上限40万円)
・受講終了後の1年以内に就職した場合、さらに20%
(1年の上限56万円)
教育訓練の受講1か月前までに訓練前キャリアコンサルティングを受け、公共職業安定所の手続きが必要
教育訓練支援給付金 専門実践教育訓練を受ける45歳未満の一定条件を満たした人訓練受講中の基本手当が受けられない期間について、基本手当の日額の80%2021年度までの暫定措置

高年齢雇用継続給付

受給要件

  • 雇用保険の被保険者であった期間が5年以上
  • 60~65歳で雇用保険の被保険者であること
  • 賃金が60歳の時の75%未満であること

支給額は、現在支払わられている賃金の最高15%であり、 上限は60歳の時の賃金の75%

高年齢雇用継続基本給付金(60歳以降も継続して雇用の場合)

支給限度額は原則として、毎年8月1日に改定されます。

高年齢再就職給付金(基本手当を受給後、再就職した場合)

60歳に達した後、基本手当を受給した人が基本手当の支給残日数100日以上で再就職した場合に支給されます。

  • 支給残日数が200日以上の場合、支給期間は2年間
  • 支給残日数が100~200日の場合、支給期間は1年間

支給期間の限度は65歳のと到達時までになります。

介護休業給付

介護休業給付制度は、介護休業をした労働者に一定額が支給される制度です。

受給要件

  • 対象家族は、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母(同居や扶養などの要件はなし)
  • 介護休業期間に休業前の賃金の8割以上が支払われていない
  • 就業日数は1か月10日以下である
  • 休業開始前の2年間に11日以上の労働の月が通算12か月以上ある

支給額と日数

支給額は、最高で休業前の賃金の67%になります。

事業主からの1か月の賃金が13%以下になった場合: 1か月の賃金×67%
事業主からの1か月の賃金が13~80%の場合: 1か月の賃金×80%-支払賃金

つまり、事業主からの給料と介護休業給付を合計すると、1か月の賃金は介護休業前の67~80%になります。 介護休業後も事業主から80%以上の賃金が支払われている場合は、対象外です。

支給期間は通算93日であり、3回まで分割して取得することができる。

育児・介護休業法により、労働者が介護休業するためには、2週間前までに事業主に申し出る必要があります。対して、介護休業給付金を受けるためには、介護休業終了日の翌日から2か月後の月末までに申請しなければなりません。

育児休業給付

受給要件

  • 1歳未満の子の養育のための育児休業
    ・パパママ育休プラス制度を利用した場合、1歳2か月未満
    ・延長要件に該当した場合、1歳6か月未満
    ・1歳6か月の時点で保育所に入れない等の申請により、最長2歳まで
  • 休業開始前の2年間に11日以上の労働の月が通算12か月以上ある

支給額と日数

休業開始から180日目まで

支給額は、最高で休業前の賃金の67%になります。

事業主からの1か月の賃金が13%以下になった場合: 1か月の賃金×67%
事業主からの1か月の賃金が13~80%の場合: 1か月の賃金×80%-支払賃金

つまり、事業主からの給料と育児休業給付を合計すると、1か月の賃金は育児休業前の67~80%になります。 育児休業後も事業主から80%以上の賃金が支払われている場合は、対象外です。

休業開始から181日目以降

支給額は、最高で休業前の賃金の50%になります。

事業主からの1か月の賃金が30%以下になった場合: 1か月の賃金×50%
事業主からの1か月の賃金が30~80%の場合: 1か月の賃金×80%-支払賃金

つまり、事業主からの給料と育児休業給付を合計すると、1か月の賃金は育児休業前の50~80%になります。 育児休業後も事業主から80%以上の賃金が支払われている場合は、対象外です。

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