日本のGDPと日経平均株価はどれだけ連動しているか

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経済や投資の話には絶対といえるほどよく出てくる「GDP」と「日経平均株価」。日本のGDPと日経平均株価は何が違うのかということから簡単に解説し、過去の統計データを用いてこの2つのがどれだけ連動して動いているかについて考察します。

GDPとは

GDPはGross Domestic Productの略であり、国内総生産とも呼ばれています。一般に、一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値を意味するとされています。簡単にいえば、国内でどれだけ活発にモノの生産やサービスの提供による経済活動が行われたかを示す指標ということになります。

GDPは「生産」「分配」「支出」の3つの視点でとらえることができ、それぞれは等しくなります。これは三面等価の原則と呼ばれています。以下の図で簡単な例を示しています。企業がモノを生産することで稼いだお金は労働者に分配され、個人が消費することで企業が生産するという循環を簡単に描いています。ここでおおよそ「生産」=「分配」=「支出」が成り立っています。

GDPは、国の豊かさを示すともいわています。GDPが大きいということは、生産、分配、支出で循環するお金の量が多いことを意味し、多くのモノを作り出し、多くのモノが消費されている状態にあることを示しています。単純に考えれば、作ったモノがすぐに売れ、欲しいものがすぐに手に入るような、多くの需要と供給を満たす循環ができた方が豊かである考えられると思います。

日経平均株価とは

日経平均株価は、東京証券取引所一部に上場する約2,000銘柄のうちから代表的な225銘柄を選定し、その株価をもとに算出される株価指数です。日経225とも呼ばれています。

代表的な225銘柄は、指標性を保つために売買高の多い銘柄を全業種からバランスよく選ばれています。なので、様々な業種から日本を代表する有名な企業を集めたオールスターのようなものだと考えられます。つまり、日経平均株価はこれらの代表企業の株価の寄せ集めによって、日本全体の株価を評価しようとした指標だといえます。

GDPと日経平均株価の違い

GDPと日経平均株価は、日本の経済活動を評価する指標の一つであるという点では同じですが、着目しているデータや算出方法は違います。

最も大きな違いは、GDPは実際の経済活動の結果(過去)を使って算出しているのに対して、日経平均株価は株価の成長(未来)が値の変動の決め手になっていることです。つまり、GDPはこれまでの過去の結果を示しており、日経平均株価は今後の期待を示しているといえるでしょう。このように、特に着目している時間軸が違い、算出方法も全く違いますが、いずれにせよどちらも現在の経済活動を評価する指標にはなるということで利用されているのでしょう。

日本のGDPと日経平均株価の相関

実際にこれまでのGDPと日経平均株価の推移を比較し、これらがどれだけ連動しているかを確かめるためにその相関について考察します。

それぞれ1994年度から2019年度の1年ごとの値で比較します。日経平均株価については毎日の終値の平均値を1年間の日経平均株価の値として算出しています。日々大きく値動きする日経平均株価を年単位で平均してしまう捉え方はあまり正しくないかもしれませんが、ここではGDPと単純比較するために無理やりそうしています。またGDPは実質GDPを用いています。

GDP:内閣府ホームページの国民経済計算の統計表より
日経平均株価:Macrotrends Home Page : Nikkei 225 Index – 67 Year Historical Chart (www.macrotrends.net)より

グラフで2つの増減を見ると、起伏が何となく連動しているように見えます。

1994年から2019年の26年間の2つの値のピアソンの相関係数を求めると、0.17(ほとんど相関はないという結果)となりました。

(あれ?少しは連動しているように見えるのに?)

ここでピアソンの相関係数を用いてしまうと、GDPは26年間の緩やかに増加している動き(トレンド)に焦点があたってしまい、細かい値動きに対する相関は表れません。つまり、ここでわかったことは、30年間の大きな動きとしては、日経平均株価とGDPはほとんど連動しないということだけです。

そこで、日経平均株価やGDPのような時系列データの短期的な増減に対する相関を調べるために階差を用います。階差とは、時系列の次の値から前の値を引いたものであり、前後の増減を示しています。これを用いることにより、長期的な緩やかな変化ではなく、短期的な変化に焦点をあてた比較を行うことができます。

日経平均株価とGDPの階差をグラフにするとより2つの値がより連動しているように見えます。

2つの値のピアソンの相関係数を求めると、0.55(相関が一定程度あるという結果)となりました。検定結果も有意でした。

まとめ

日経平均株価とGDPは、両方とも日本の経済活動を評価する指標の一つとして使われていますが、その算出方法は全く違います。その2つが実際にどれだけ連動しているかを統計データを用いて考察してみた結果、日経平均株価とGDPの短期的な値動きには相関があることがわかりました。

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