【図説】債券投資と利回り計算

FP2級

債券の種類やリスク、利回り計算方法について図や例を用いて解説します。

債券とは

債券とは、国や地方自治体、企業などが資金調達のために発行する借金の証書です。発行体が国であれば国債、地方自治体であれば地方債、企業であれば社債と呼んでいます。また、持っている借金の証書を返して現金化することを償還と呼びます。

債券投資とは、これらの債券を買い、数年後の償還時に購入時との価格差と利率によって儲けようとするものです。

利付債と割引債

債券は利子の受け取り方の違いによって以下の2種類に分けることができます。

  • 利子債:毎年決まった時期に利息を受け取ることができる債券
  • 割引債:利息の支払いがない分、利息相当分を差し引いた金額で購入できる債券

債券のリスク

投資では予測される価格変動の大きさをリスクとして捉えます。基本的には、リスクとリターンは比例の関係にあります。

債券におけるリスクには以下のようなものがある。

信用リスク:債券の発行体が元利金を払えなくなるリスク

社債の場合、企業が債券の購入者に対して約束されていた債券の額面の金額と利子の支払いができない、いわゆる倒産する危険性を意味しています。

価格変動リスク:市場金利によって債券の価格が変動するリスク

債券の価格が変動する要因の一つに世の中の「金利の変動」があります。一般的に、世の中の金利が上昇すると、金利が低いときに発行された債券の価格は下がる傾向があります。

例えば、金利1%の債券を発行し、その後、世の中の金利が上昇したため、金利5%の債券を発行したとします。この場合、人々はもちろん金利5%の債券に注目するため、金利1%の債券を買おうとする人はいなくなるため、価格が下落します。

流動性リスク:当該銘柄の妥当な価格で取引できないリスク

その債券の発行量が多いか少ないか、その債券の人気が高いか少ないかなどによって、売却したいときに希望した価格で売れない危険性を意味します。債券を満期前に売却して現金に換えたくても、その債券を買いたいと思う人が少なければ売ることができません。

例えば、倒産しそうな企業の債券や上の例で示している他よりも金利の低い債券、取引高が少なく妥当な価格で取引できない債券は、通常より低い価格で取引せざるを得ません。

為替変動リスク:通貨の相場変化によるリスク

外貨で債券を購入した場合に発生します。外貨で利息や償還金を受け取り、外貨を円に両替する際に差損が生じる危険性を意味しています。

カントリーリスク:債券を発行する国の不安定さにより債券の価格が下がるリスク

債券を発行する国のおける政情不安や財政悪化、戦争などにより国債の価格が下がる危険性を意味しています。

途中償還リスク:償還期限前の買入消却や繰上償還により運用期間が変わるリスク

予定していた運用期間の途中で投資した資金が返還されてしまう危険性を意味しています。その場合、満期限までに得られたはずの利息が受け取ることができなくなります。

日本が関係する外国の債券

サムライ債:外国の発行体が日本国内で円建てで発行する債券

ショーグン債:外国の発行体が日本国内で外貨建てで発行する債券

ユーロ円債:外国の発行体が日本国外で円建てで発行する債券

ほとんどがユーロ市場で発行されることから「ユーロ円債」と呼ばれます。

債券利回りの計算

債券の利回りは所有期間の違いにより、応募者利回り、所有期間利回り、最終利回りの3つの呼び方があります。

  • 応募者利回り:新規発行債を償還期間まで保有した場合
  • 所有期間利回り:新規発行債または既発行債を購入して途中で売却した場合
  • 最終利回り:既発行債を購入して償還期間まで保有した場合

それぞれの利回りの計算式は次の概念で覚えれば、どの場合でも適用することができます。下図では、債券利回りを抽象度合いを変えて様々に表現しています。実際のFP2級の資格試験等で利用するのは、一番上の式ですが、もし、この式を忘れてしまっても利回りの意味合いがわかっていればこの式にたどり着くことができるでしょう。

また、直接利回りは下図のように表されます。直接利回りとは、債券の売却時の価格差は考慮せず、投資額に対して1年間に支払われる利息にのみ注目した割合になります。

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