【図説】デリバティブ:先物取引、オプション取引、スワップ取引の仕組みをやさしく理解

FP2級

デリバティブ(金融派生商品)である先物取引、オプション取引、スワップ取引についてわかりやすく解説します。何のためにそんなややこしいものが存在するのか理解し、それぞれの概要のイメージを記憶することを目的とします。

デリバティブの意味

Derivative(デリバティブ)とは「派生的な」という意味があり、株式や債券などの取引から派生してできた金融商品です。

デリバティブの基本的な存在理由は、リスクヘッジです。通常の取引に加えて、大きな損失を避けるための仕組みを組み込んだものがデリバティブと捉えることができます。

通常よりも少し高いお金を払ってでも安定した取引を行いたいというモチベーションと、リスクは大きくなるが高い収益が望めるというモチベーションによって成り立っている取引と考えられます。

デリバティブの代表的なものには以下の3種類があります。

  • 先物取引
  • オプション取引
  • スワップ取引

先物取引の仕組み

先物取引は、特定の資産を将来のある時期に特定の条件で売買すること約束する取引です。先物取引を利用することで価格変動リスクを回避(ヘッジ:Hedge)することができます。価格下落リスクに備える売りヘッジと価格上昇リスクに備える買いヘッジがあります。

本来の先物取引の意義とするれば、数年後の売買の価格を決定することで価格の急激な変化に備えるものなので、小さな価格の変化による多少の損益には注目されません。したがって、売買の約束をした側にとっても、された側にとっても、将来の売買の安定を約束されたことによるwin-winの取引になります。

しかし、これを投資という名の一種のマネーゲームやギャンブルと捉えると、将来の価格変化の予想がどれだけ当たるかで損益が発生するというお金を賭けたゲームになります。現在の投資の世界ではこのような使われ方が一般的になっています。

オプション取引の仕組み

オプション取引は、特定の資産を定められた期間内に定められた価格で買う権利(コールオプション)また売る権利(プットオプション)を売買する取引です。

オプション=権利≒「使っても使わなくてもよい売買条件に関する約束」と捉えることができます。オプションを買うということは、常に儲けはオプションの購入代金分少なくなってしまうが、状況によっては損失を小さく抑えることができます

権利行使(権利を使用することが)できるタイミングによる分類

  • アメリカンタイプ:取引最終日までいつでも権利行使できる
  • ヨーロピアンタイプ:満期日に限り権利行使できる

《アメリカー自由の女神ー自由な国ーいつでも権利行使できる》というようなイメージで覚えるとよいかもしれません。

オプションが取引される市場による分類

  • 上場オプション:金融商品取引所に上場して取引される
  • 店頭オプション:個別に相対で取引される

上場オプションの方が、決済の安全性や流動性が高いというメリットがある反面、取引条件があり、手続きが煩雑だというデメリットがあります。

スワップ取引の仕組み

スワップ取引は、「お金を受け取る権利」や「お金を支払う義務」を交換する取引です。

スワップ(swap)=交換するという意味であり、交換対象が金利であれば金利スワップ、異なる通貨であれば通貨スワップといいます。

金利スワップ

金利スワップは、同じ通貨の異なる金利の受取りや支払いが交換されます。金利スワップでは金利部分のみの交換になります。

通貨スワップ

通貨スワップは、異なる通貨の元本と金利の受取りや支払いが交換されます。元本部分と金利部分の両方が交換されます。

通貨スワップは上図の例のように外貨を調達する際に用いられます

なぜ、日本にあるアメリカ企業は日本の銀行から直接資金調達しないのか?

それは、外国企業は国内企業よりも銀行の貸付のリスクや管理コストが高くなり、金利が高くなるためです。企業は自国の銀行で借入を行う方が金利が低くなるため、お得に資金調達できるのです。

上図では、2つの企業がそれぞれ自国の通貨を自国の銀行から低い金利で借入し、別の銀行の仲介によって、外貨の調達を実現している通貨スワップの例を示しています。