【図説】ドルコスト平均法(積立投資)の効果を具体例で実証

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ドルコスト平均法は定期的に継続して一定額を投資する手法(積立投資)で、変化する価格の中で購入価格を平均して低く抑えることができるといわれています。ここでは実際にどの程度効果があるのか、具体例を用いて図説します。

株価の推移モデル

ここでは株価の推移を簡単な8つのパターンに場合分けし、ドルコスト平均法を使用することによりそれぞれのパターンとそれらを合計においてどれほど平均コストが低くなるのか実際に計算します。

ここでの設定として、最初の株価を100円とし、±10円の変化を3回繰り返します。そうすると、最終結果は4パターンですが、そこに行きつくまでの過程で8パターンに場合分けできます

ドルコスト平均法では上図のグラフの積立1,2,3のそれぞれで同じ額ずつ投資を行います。

今回は総額30,000円を投資額とし、売却場面でいくらの損益が出るか検証します。

最初に一括で購入した場合

最初に100円の株を30,000円をすべて使って一括で購入した場合、300株保有することになります。したがって、最終損益は株価の変化額×300株で計算することできます。

なお、この8パターンの値動きがすべて等しい確率で起こりうると、期待値としては最終損益±0円になります。

(+9000×1/8)+(+3000×1/8)+(+3000×1/8)+(-3000×1/8)+(+3000×1/8)+(-3000×1/8)+(-3000×1/8)(-9000×1/8)=0

➀~⑧のそれぞれが等しい確率(1/8)で起こると仮定した場合の期待値の計算です。

ドルコスト平均法を用いた場合

ドルコスト平均法を利用すると、30,000円の投資額を3回に分け、10,000円ずつ積立1,2,3のタイミングで株を購入することになります。

それぞれの積立のタイミングで株価÷10,000円の計算によって、購入株数が求められます。3回分の購入株数を足し合わせ、売却時の株価でかけることによって、売却価格が得られるので、30,000円との差額を見ることで最終損益がわかります。なお、ここでは最終損益で四捨五入して計算しています。

なお、この8パターンの値動きがすべて等しい確率で起こりうると、期待値としては最終損益+1円になります。これは四捨五入した際の端数の関係であり、期待値が大きくなるという解釈はできません。

一括購入とドルコスト平均法の比較

一括購入した場合とドルコスト平均法を利用した場合の最終損益を比較します。

一括購入ドルコスト計算法
9,0005,652
3,000167
3,0002,000
-3,000-3,818
3,0004,222
-3,000-2,000
-3,000250
-9,000-6,472

全体としていえることは、ドルコスト計算法よりも一括購入の方がハイリスク・ハイリターンだということです。

この結果から見えるドルコスト平均法の特徴は、損益の幅(リスク)を抑えられることです。➀と⑧のような単純上昇または単純下落した場合、ドルコスト平均法では利益が小さくなる分、損失も小さくなります。

ドルコスト平均法では大きな利益を狙いにくい分、⑦にみるようなわずかでも利益が出る可能性が高まる効果もあるのかもしれません。最終的にプラスになるかマイナスになるかという点だけで見ると、プラスで終われる確率は、一括購入の場合は1/2ですが、ドルコスト平均法では5/8となっています。

まとめ

株価がランダムに遷移したときの投資による損益を一括購入した場合とドルコスト平均法を利用した場合で比較しました。

結果、ドルコスト平均法には株価の変化による損益の幅を抑える効果があり、最終的にわずかでも利益を出す可能性を高める効果があることがわかりました。ただし、大きな利益を出す可能性が低められるということでもあり、期待値として考えるとどちらも変わらないということになります。

個人的な意見として、ドルコスト平均法を利用する最も大きなメリットは、放置しながら投資できるという点にあると思っています。リスクが抑えられ、最終的にプラスで終われる可能性の高いということは、日々の株価の動きを観察し、今後どうなるかを予測しなくてもよくなります。

プロの投資家かよほどの暇人でない限り世の中の出来事を把握し、株価の変化を正確に予測するのは不可能です。実際、専門家ですら株価の予測を発表して外すくらいなので、経済の動きを予測しようとすることすら不毛な気もします。

全世界の人口とお金の総量は増え続けているので、株価全体としては上がり続けるという意見には納得できますが、一般人の情報量で、個別の株価の値上がり予想は信用できない場合が多いです。そうなれば、下手に株価の変化を追うことに労力をかけずに、ドルコスト平均法で投資をするという選択がよく見えてくるのだと私は思います。