冷蔵庫のドアを開けっ放しにすると部屋の温度はどうなるか?

雑学

夏の暑い日、子供のころ一度は冷蔵庫のドアを開いてその冷気で涼んだことがあるのではないでしょうか?そこから応用して、開けっ放しにしたら部屋の温度も下げられるのではないか?と考えたこともあるかもしれない。ここでは、エアコンとの違いにも触れつつ、冷蔵庫のドアを開けっ放しにしたら部屋の温度がそうなるか科学的に解説する。

冷蔵庫の冷える基本原理は「気化熱」

冷蔵庫の基本原理である「気化熱」とは液体が気体に変化するときに周りの熱をうばう現象である。身近な例では「打ち水」がこの原理を利用している。この原理によって、周りよりも温度の低い状態を作りだすことができる。

冷蔵庫の循環構造

打ち水の場合は水の液体から気体への変化であるが、冷蔵庫では水の代わりに利用される物質を冷媒と呼んでいる。この冷媒を液体と気体に変化させながら循環させることで、継続的に冷やす仕組みを作っている。物質の変化によって熱を吸収することで周りの温度を下げる一方、循環の反対側ではの逆の反応、すなわち熱を放出する変化が起きている。冷蔵庫ではこの熱の放出部分は冷蔵庫の外側で行うことにより、冷蔵庫内では冷却のみをし続けることができている。

クイズ:冷蔵庫のドアを開けっ放しにすると部屋の温度はどうなるか?

では、ここでタイトルの問題について考えてみよう。

「冷蔵庫のドアを開けっ放しにすると部屋の温度はどうなるか?」もちろん、部屋の外との温度のやり取りはないものとする。また、中にいる人間の体温も影響しないものとする。

  1. 部屋の温度は下がる
  2. 部屋の温度は変わらない
  3. 部屋の温度は上がる

上記の説明をみると何となく2が正解な気がする…が正解は3である。

なぜ部屋の温度が上がるのか

冷蔵庫の冷媒の気体と液体の変化による温度の変化は総合すれば0である。では、温度が上がる要因は何か?それは、冷蔵庫の機械部分で発生する熱によるものである。具体的には、冷媒を膨張や圧縮するために組み込まれているエバポレーターやコンプレッサーなどの機器である。これらは電気によって動いているが、電気エネルギーから動力へと変換される際に少なからず無駄な熱エネルギーが生じてしまう。この熱の分だけ部屋全体の温度上がる。

物理的な視点で考えると、外部とのエネルギーのやりとりのない部屋で同じものが循環するだけであればエネルギーの総量は変わらない。エネルギー保存の法則である。しかし、今回の状況では、外部との熱のやりとりはないものの、電気エネルギーは流入している。この電気エネルギーの分だけ内部のエネルギーの総量は増えており、そのエネルギーの変換の一部が熱エネルギーになっていると説明できる。

エアコンの構造も冷蔵庫とほぼ同じ

エアコンの原理も冷蔵庫とほとんど同じである。冷蔵庫で発生する熱を部屋の外部に放出しているだけである。そのため、冷蔵庫とは違って外に室外機を設置する必要がある。

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