【図説】「不動産の流動化」の目的についてイメージで解説

FP

「不動産の流動化」という言葉を聞いたことがありますか?調べても専門用語の多さに理解を阻まれ断念する…そんな経験はありませんか。

ここではイメージを用いた解説により、その目的と構造を簡単に理解すること目指します。

前提

ここでは、ある企業が土地と建物を所有しており、その不動産を利用して事業を行っているとします。

例えば、この企業が「不動産の流動化」をすることにより、どんなメリットがあるのか、どのようにすることで実現するのかについて見ていきます。

不動産の流動化の目的1:資金調達

結論から言うと、不動産の流動化は資金調達を容易にするために行われます。

不動産を証券化することによって、投資家から資金を調達することができます。

不動産の証券化

一般に、土地や建物などの不動産は価格変動リスクが比較的小さいうえ、安定した収益が見込めるため、優秀な投資対象と言われています。しかし、一つの土地や建物自体の価格が高いため、投資家にとって購入しづらいといった一面もあります。

また、不動産の所有者にとっても、売れれば大きな資金を得ることができるが、使用権を失うと事業が継続できないため、単純に売ることはできません。

これらの問題点は不動産の証券化によって、解決することができます。

不動産の所有者はまず、不動産を売却するために新しい事業体を設立します。事業体は投資家に出資を募り、その不動産を運用し、家賃収入や運用益を分配します。事業体が投資家に募る出資額は小口化されているため、投資家は出資しやすくなります

これにより、元の不動産所有者(企業)は事業を継続しながら資金を調達することができます。また、元の不動産所有者(企業)は必要に応じて証券をすべて買い入れて、不動産を自己所有化することもできます。

不動産の流動化の目的2:企業の財務改善

不動産が貸借対照表(バランスシート)のからなくなることで資産が圧縮され、企業の資産効率や財務の安全性の改善が期待できできます。具体的には、不動産の売却により手元資金の確保、負債の削減、総資産利益率や自己資本比率の向上などが挙げられます。

それにより、企業価値の向上が見込め、金融機関からの借り入れコストを削減することができます

不動産の流動化によるデメリット

デメリットは、契約や手続きが複雑で大変であることだと考えられます。新しい事業体を設立にかかわる登記、不動産の証券化、不動産の鑑定、法律や税務の調査などにはそれぞれ専門家が必要であり、多くの費用や手間が必要です

また、収益を上げている不動産でなければこのスキームは成り立ちませんが、その見通しと判断が非常に難しいように感じます。

まとめ

不動産の流動化について、不動産を所有する企業視点でのメリットとデメリットを簡単にまとめると以下になります。

不動産の流動化によるメリット

  • 資金調達の手段が増える
  • 企業の財務の改善

不動産の流動化のデメリット

  • 手続きが大変

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