中途採用・転職面接でアピールすべき内容
面接で合格率をアップさせるには、給与に見合った人材であることをアピールする必要があります。
続いては、中途採用面接でアピールすべき内容について、「即戦力での採用」の場合と「ポテンシャル採用」の場合で、具体的に見ていきましょう。
即戦力での採用
一般的に企業は、中途採用では即戦力となる人材を募集します。
面接で自分が応募企業の即戦力となることを伝えるためには、下記2点を意識してみましょう。
- どのような経験やスキルを持っているのか
- 今までの経験を活かし、どのように活躍できるのか
今までの自分の経験と応募企業での仕事を結び付け、どのように活躍できるのか、具体的に説明できるようにしておいてください。
ポテンシャル採用
前述のとおり、中途採用では即戦力となる人材が求められる傾向にありますが、長期的な視点で利益をもたらす人材を採用するポテンシャル採用のチャンスもあります。
ポテンシャル採用では、「ポータブルスキル」と呼ばれるような汎用性の高いスキルが注目されます。
具体的には下記のようなものが含まれます。
- 同僚と協調して、円滑に業務を進める能力
- 商談における交渉能力
- 物事を俯瞰して捉える能力
ポテンシャル採用であれば、未経験の業界や職種、スキルが十分ではない分野にチャレンジすることができます。
そのため、面接でもこれらの能力をアピールできるようにしておくことが大切です。
中途採用・転職の面接で聞かれることが多い質問と回答例
面接対策として、面接官に聞かれる質問を想定し、回答をまとめておくことも有効です。
時事的な質問が出ても困らないように情報を収集したり、逆質問を用意したりすることも忘れないようにしましょう。
ここでは、一般的な中途採用面接で聞かれることが多い質問と、その回答例をご紹介します。回答のポイントについても解説しますので、面接準備に役立ててください。
自己紹介・自己PR
〈質問例〉
- 自己紹介、自己PRをしてください。
- これまでの職務経験・経歴をお聞かせください。
- 学生時代はどのようなことに打ち込まれていましたか?
- 前職(現在の職業)ではどのような実績をあげられていますか?
- これまでの人生において、もっとも大きな挫折の経験を教えてください。
<回答例>
「田中太郎と申します。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
私は◯◯大学を卒業後、株式会社◯◯で営業職として5年間の実務経験を積んできました。現在は教材の法人営業を行っており、大手IT企業など15社の顧客を抱えています。上半期には、営業担当20名中1位の売上を達成しました。
この実績を築くことができたのは、ヒアリングを通してクライアントのニーズを的確に把握したうえで提案営業を行ってきたからだと考えています。御社でもヒアリングスキルと提案力を活かし、新規顧客の獲得と売上達成に貢献したいと思います。」
「私が学生時代に打ち込んだことは、サッカー部での活動です。部活動のキャプテンを務めたことでチームワークの大切さを学びました。最初はチームをうまくまとめられるか不安でしたが、チームメイトが支えてくれたおかげで最後の大会で優勝することができ、仲間から「田中がキャプテンで良かった」と言ってもらうことができました。しかし、私一人ではなし得なかったことだと思います。
この経験を活かし、将来的にはチームリーダーとしてチームをまとめ、御社で活躍したいと思っています。」
<解説>
自己紹介・自己PRでは、あなたの経歴や実績、スキルが企業の求める人物像とマッチしているかどうかがチェックされます。
応募先の企業や募集職種で活かせる内容を、実績や成果を基に簡潔にアピールしましょう。
自己紹介や自己PRを面接の最初に聞かれた場合は、面接の場を設けてもらったことに対する感謝の意を面接官に伝えることも忘れないようにしてください。
学生時代に頑張ったこと、打ち込んだことの質問は、入社後のイメージと結び付けて人柄を把握するためです。頑張ったこと、打ち込んだことから何を学び、その経験をどのように活かしたいのかを答えられるようにしましょう。
転職・退職した理由
〈質問例〉
- 転職・退職した理由は何ですか?
- 退職してから期間が空いていますが、この間は何をされていたのでしょうか?
- 転職回数が多いようですが、それには何か理由があるのでしょうか?
- 今の会社に入ってまだ日が浅いようですが、なぜ転職を考えられたのでしょうか?
- 今回の転職で叶えたいことなどはありますか?
<回答例>
「現職では成果報酬の制度がなく、実績やスキルに応じた給与が見込めない環境にあります。
御社では、成績に応じたポジションやインセンティブが得られると伺っています。入社後は売上に貢献し、成果を出すことで報酬アップを目指し、何よりビジネススキルを磨き向上したいと考えております。」
「現職では多くの経験をさせていただきましたが、もっと専門知識が必要な仕事をしたいと思うようになりました。将来的なことも考えた結果、経験値をさらに積むことができる御社で活躍したいと思い、転職を決意いたしました。」
<解説>
転職理由を尋ねるとき、面接官は「また同じような理由で辞めてしまうのではないか」ということをチェックしています。
前職とは環境・条件などが異なっていることから、応募企業では同じ理由で辞めることがないということを暗に伝えてください。
また、給与面に不満を感じたなど、転職理由がネガティブなものであったとしても、そのまま伝えるのではなくポジティブな理由に転換するようにしましょう。
志望動機
〈質問例〉
- 志望動機を教えてください。
- 当社のことはどこで知りましたか?
- 同業はほかにもありますが、なぜうちを志望したのでしょうか?
- 入社後、どのような業務に取り組みたいですか?
<回答例>
「営業スキルをさらに高め、実績も積みたいと考え、御社を志望いたしました。現職の営業チームでは、月間売上1位を3回達成しました。しかし、ノルマがチームごと似設定されており、私自身がノルマを達成できていてもチーム全体の実績にはつながらないことも多かったため、モチベーションを保ちにくいというのが現状です。
御社ではチームワークも重視しつつ、インセンティブや成果主義によって個人のスキルアップも支援する制度が整えられていると伺いました。入社した際には、チーム全体で切磋琢磨しながら私自身の営業スキルにも磨きをかけ、売上に貢献したいと考えています。」
「前職でも事務の仕事をしておりましたが、従業員数が少ない中で幅広い業務を担当した経験から、数多くの学びを得ることができました。
しかし、今後のキャリアを考えたとき、事務の中でも得意分野を作り、専門性を極めたいと考えるようになりました。
現在はまだ取得していない資格の勉強をしています。今後はその勉強で得た知識はもちろん、今までの経験も活かしながら御社で活躍したいと思い、志望しました。」
<解説>
志望動機は同業他社ではなく、なぜ応募企業を選んだのかわかるように、応募企業を研究したうえで的確に伝えるようにしてください。
応募企業に入社することで、職場環境やプロジェクトの取り組み方など、どのような変化を期待できると考えているのかを面接官に具体的に伝えることで、志望に至った理由に説得力を持たせることができ、志望度の高さもアピールできます。
活かせる経験やスキル
〈質問例〉
- 当社で活かせる経験やスキルはありますか?
- マネジメント経験はありますか?
- これまでの業務における実績などお聞かせください。
- 仕事上での成功談を教えてください。
- 仕事上での失敗談を教えてください。
<回答例>
「現在の営業職では、顧客満足度向上に向けてのヒアリングを通して課題やニーズを把握し、お客様それぞれへ提案営業を行っています。入社以来、ヒアリング力と提案力を磨き、売上目標を毎年達成してきました。上半期には関東の営業担当20名中の1位となり、社内表彰を受けることができました。
御社におきましても、顧客のヒアリングに力を入れ、提案力を活かした営業で顧客満足度の向上と売上アップに貢献できればと考えています。」
「現職では、10人所属する営業チームのリーダーを担当しています。新人5名の教育も担当し、3つある営業チームのうち、常にトップの成績を維持しています。お客様から信頼を寄せてもらうことを第一とした営業指導をしてきましたが、その成果もあり、私がリーダーへ就任してからは、案件受注数3倍を達成しました。また、マニュアル作成や日次の営業ミーティングの開催などを通して、チーム全体が働きやすい職場となるよう努めています。」
「前職で研修会の進行管理を任された際、資料配布や会場のセッティングに時間がかかってしまい、予定より遅れてしまったことがありました。
それ以来、無駄なく効率よく進めるにはどうしたらいいのかをしっかりと考え、事前に作業手順をシミュレーションするように心がけています。結果、そのあとに任されたイベントの進行や準備などを時間内に終わらせることができるようになりました。
上司からは「計画性がある」と評価していただきました。」
<解説>
面接官が応募企業で活かせるスキルや実績について質問するとき、「自社でその応募者が具体的にどのように活躍してくれそうか」を確認しようとしています。
募集職種での業務内容を踏まえて、適切な経験や実績・スキルを選び伝えることがポイントです。
ちなみに、異業種や異職種への転職面接では募集職種に限定せず、柔軟性や実行能力など、ビジネス全般で活かせそうな経験や実績、スキルをアピールするといいでしょう。
また、仕事での成功談、失敗談を質問されたとき、面接官は「あなたはどのような人なのか」を知りたがっています。
その経験をどのように活かしたのかを伝えるようにしましょう。
自身の長所・短所・人柄
〈質問例〉
- ご自身の長所と短所を教えてください。
- 周囲の方々からはどのような性格だと言われますか?
- 仕事をするうえで大切にしていることを教えてください。
- あなたはどのようなときに、仕事にやりがいを感じますか?
<回答例>
「私の強みは、リーダーシップがとれることです。自分ができることは率先して取り組み、新人にもこまめに指導やフォローするなど、協力し合う雰囲気を作り出すことで、チーム目標を達成してきました。
短所は、長所としてお伝えしましたとおり、リーダーシップをとって全体を統率することにやりがいを感じますが、我が強い面があることを認識しております。一方的に意見や価値観を押し付けるのではなく、相手や周囲の意見もきちんと聞いたうえで発言や行動ができるよう努めています。」
「周囲からはよく、コミュニケーションスキルが高いと評価してもらえます。私自身、仕事でもプライベートでも人と話すことが好きですので、積極的にコミュニケーションをとる姿勢が身に付いており、このように評価してもらえるのだと思います。しかしながら、世話焼きな面があることは自覚しており、相手の状況を確認の上声をかけるなど、意識しております。」
「自分自身の業務だけに注力するのではなく、部署内外問わず、社員一人ひとりとコミュニケーションをとりつつ、日頃から信頼関係を築いておくことが大切だと考えています。コミュニケーションを図ることが大切だと考える理由は、社内全体で信頼関係を深めることは、円滑な業務の遂行にもつながると考えるからです。例えば、トラブルや課題が生じたときも、普段から積極的にコミュニケーションをとっているとスムーズに解決できる場合があります。」
<解説>
自分の長所・短所や性格を理解することは、仕事をしていくうえで非常に大切です。面接官は長所・短所を聞くことで、客観的に自己分析ができているかという点をチェックします。
長所と短所は表裏一体の関係にあるものですから、関連付けて回答を用意してもいいでしょう。
また、周囲からどのように見られているのかを聞くとき、面接官は応募者が周囲とどのような関係性を築くことができる人物であるのか知りたいと考えています。家族や友人、職場の人々などの評価を素直に受け止めていること、自身の性格のいい面だけでなく悪い面も把握したうえで、注意深く接することができるということを伝えましょう。
仕事で大切にしていることを聞くのは、応募者が仕事に対してどのような姿勢で取り組む人物であるのかを読み取ろうとします。
ビジネスに対する価値観や取り組み方を伝えたうえで、応募企業で働くことになった際、それを活かしていきたいと考えていることを伝えましょう。
将来のビジョンや目標
〈質問例〉
- 当社ではどういったことを成し遂げたいと考えていますか?
- 将来の夢や目標はありますか?
- 3年後、どのようになっていたいですか?
- 今後チャレンジしたいことはありますか?
<回答例>
「商品ご購入後のお客様の声を基にした販促に挑戦したいと考えています。お客様からお寄せいただいた、購入して良かった点や、具体的にどのような変化があったのかという声をまとめ、販促に活かすことで、商品の新しい価値やそれまで隠れていたメリットも見えてくるのではないでしょうか。商品のプロモーションになることはもちろん、潜在層にも御社の商品の良さをアピールできるのではないかと思います。」
「3年後には営業で上位の成績を収めることはもちろん、顧客だけでなく仲間からも信頼される人材になっていたいです。
そのためにも、まずは基礎をしっかり学び、すべての仕事をおろそかにせずに日々成長していきたいです。」
<解説>
応募企業で成し遂げたいことや挑戦したいことを聞かれたら、自分の強みや今後目指すキャリアを踏まえて、入社することで企業にとってどのようなメリットがあるのかを具体的に伝えましょう。
ポイントとして、応募企業の事業内容を研究しておくことが大切です。
また、3年後や5年後、10年後にはどうなっていたいかを質問されたときは、面接官はキャリアプランや仕事に対する考え方を見ています。将来設計がしっかりできていることをアピールしましょう。
年収や待遇の希望
〈質問例〉
- 年収や待遇の希望はありますか?
- 転勤の可能性がありますが、いかがでしょうか?
- もし一緒に働けることになれば、どのくらいで入社できますか?
- 休日出勤の可能性もありますが、大丈夫ですか?
<回答例>
「現在の年収は400万円程です。成果主義やインセンティブが収入に反映されることでモチベーションアップにもつながると考えていますので、現状の金額は維持しつつ、入社後はできるだけ早く売上に貢献し、成果を出して年収アップにもつなげたいと考えています。」
「現職でも休日出勤をすることがありますので、特に抵抗はありませんがその場合は代休をいただくことは可能でしょうか。」
<解説>
応募企業で成し遂げたいことを聞かれたら、自分の強みや今後目指すキャリアを踏まえて、入社することで企業にとってどのようなメリットがあるのかを具体的に伝えましょう。
ポイントとして、応募企業の事業内容を研究しておくことが大切です。